親が亡くなると、遺族は悲しみのなかで葬儀の手配や準備に奔走し、それと併行して各種届け出、手続きに追われる。しかも、「この手続きは自治体で」「その届けは年金事務所へ」といった具合に窓口はバラバラだし、必要書類、申請期限などもそれぞれ異なる。そこで、煩雑な手続きを時系列とともに整理した。
親が亡くなる前に手続きをしたり、書類を準備しておくことで、残された家族の負担が減らせることがある。その代表例が「自筆証書遺言」だ。遺産相続問題に詳しい佐々木一夫弁護士はこう語る。
「遺言書を作るメリットは、どの財産を誰に相続させるかをあらかじめ指定できることです。『〇〇については長男Aに相続させる』のように“させる”という文言を使えば、死後、遺産分割の手続きが不要になります。遺言がないと相続人全員の合意が必要な遺産分割協議を行ないますが、そこで5~10年にわたり揉めるケースは当たり前のようにあります」
自筆証書遺言には相続財産の「目録」を添付できるので、死後に遺族が預金通帳や有価証券を探す手間からも解放されるが、遺言書作成にあたっては注意点も少なくない。
「日付の書き方が『〇年〇月吉日』となっていたり、署名に代わって花押を書いてしまうなど、“書き方”を間違えると無効になってしまいます。財産の額によって10万~数十万円の費用がかかりますが、弁護士や公証人立ち会いの下で作成する公正証書遺言にすると、内容や形式などの不備を防ぐことができます」(同前)