中国でも五月雨式の景気対策、株価対策
一方、中国の株式市場についても共産党、国務院幹部など、当局が支える形となっている。
上海総合指数は1月4日場中で2014年11月21日以来となる安値2441ポイントを付けたもののそこから切り返し、春節休場前の最後の取引日となった2月1日の終値は2618ポイントで引けている。この間の上昇率は7%に達している。
大型株のベンチマークである上海50指数の同じ期間での上昇率は11%である。安値から10%の戻りが底打ちの一つの目安と考えれば、大型株に限れば上昇トレンド入りした可能性も十分考えられる。
1月4日には李克強首相が景気対策を行う方針を示すと、引け後に中国人民銀行は預金準備率の引き下げを発表した。国家発展改革委員会の寧吉喆副主任は8日、メディアの取材に応じ、今年は家電、自動車などの消費促進策を打ち出すと発言。これは、18日の関連部署による電話会議、28日の「さらに一歩進んで供給を改善し消費の安定成長を促し、強大な国内市場の形成を促進するための実施方案(2019)」の発表に繋がった。
そのほか1月23日には「上海証券取引所に科創板を設立し、登録制テストを実施する」ための全体的な実施方案、実施における意見の承認、30日の6件の細則規則意見徴収稿の発表などがあった。31日には信用取引に対する規制緩和策が発表されている。
景気減速がはっきりとしてきた中での五月雨式の景気対策、株価対策が実施されている。
アメリカも、中国も、マクロの景気、ミクロの企業業績ともに下向きであり、見通しも不透明である。そうした中での政策変更であり、新たな政策発動である。やはり株価予想は政策を抜きには語れないと言えるだろう。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。