今年10月に実施予定の消費増税の大きな目的は、今後、増大必至の年金・医療・介護という「社会保障費」を賄うという点にある。しかし、税率を8%から10%に引き上げたところで、それで十分ということにはならない。
ファイナンシャル・プランナーの藤川太氏(家計の見直し相談センター代表)は、「とりわけ団塊の世代(1947~49年生まれ)がすべて75歳以上の後期高齢者となる2025年には社会保障費が2012年と比べて40兆円も増えると見込まれ、『2025年問題』が噴出すると見られます」と警鐘を鳴らす。以下、藤川氏が解説する。
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日本の人口の推移予測をみると、2020年以降、65~74歳の前期高齢者が減り始める一方で、75歳以上の後期高齢者が急激に増え始め、2025年には前者が1497万人、後者が2180万人へと一層の高齢化が進む見通しです。
では、その時の社会保障費はどうなっているか。厚生労働省の推計では、総額で2012年の109.5兆円から148.9兆円へと40兆円近く膨らむ見込みですが、注目すべきはその内訳です。
社会保障費というと「年金」が注目されがちですが、実は2025年の年金の支給総額見通しは「1.1倍(53.8兆円→60.4兆円)」と予想以上に大きく膨らむわけではありません。それに対し、「医療」は約1.5倍(35.1兆円→54兆円)、「介護」に至っては約2.3倍(8.4兆円→19.8兆円)にも膨らむ見通しとなっているのです。しかも、その是非は別として、年金にはさまざまな対策が講じられているのに対し、医療や介護にはこれまであまり大きな対策はとられてきませんでした。