「家族会議で合意しても、実際の相続の際に違う意見が出て揉めるケースが多いので、親に遺言書を書いてもらうことは必須です。親が“あとで書いておくよ”といったときも、会議の内容が反映されているか確認できるよう、出来上がった遺言書は相続人全員に対してオープンにしてもらうことが望ましい」(同前)
遺言の文面をチェックする際には、親の“書き方”にも注意したい。
「例えば不動産について、『仲良く分けて』『○○に任せる』などの曖昧な記述はNGで、『時価で計算して2分の1を相続させる』などと明確に書いてもらう必要があります。金融資産も『誰々に500万円』と具体的に書いてあるかを確認してください」(同前)
親が自筆で書く「自筆証書遺言」は自宅の金庫などで保管することが多いが、亡くなった後に見つからないと何の意味もない。相続人となる子供全員が保管場所を把握しておくのが良い。
また自筆証書遺言は、相続手続きをする際に家庭裁判所の検認が必要になる。書式などに不備があると、無効とされてしまうこともある。無用なトラブルを避けるために、「公正証書遺言」とする手もある。
「遺言の内容を整理し、公証役場を訪れて公証人に遺言書を作ってもらう制度です。公正証書にしておけば検認の必要もないし、紛失の心配もなくなる。役場に行くのは親だけでもいいが、子供が同席することも可能です。その際、相続人ではない証人が2人必要です。家族信託を契約したときに相談した弁護士などがいれば、その人に証人までお願いするのが良いでしょう」(弁護士の遠藤英嗣氏)
※週刊ポスト2019年3月1日号