パート妻には働き方で損得が分かれる「収入の壁」がいくつかある。それは夫が年金生活をしている場合でも同様だ。まず年金への影響が最も大きいのが「130万円の壁」(年金の壁)だろう。パートで働いていても、年収が130万円以下(※注)であれば、夫が加入する厚生年金の“第3号被保険者”として自分で年金保険料を払わなくても65歳から基礎年金(国民年金)を受給できる。
【※注/社員数500人以下の中小企業の場合。社員数501人以上の大手企業は106万円以下となる】
しかし、収入が壁を超えると厚生年金に加入しなければならないため、給料から年金保険料や健康保険料を天引きされて手取りが減る。これまではそれを嫌って収入が130万円以下になるように勤務時間を調整するケースが多かった。いわゆる“専業主婦”にはこうした働き方のパート妻が多い。
次が税金の「103万円の壁」。妻の収入が103万円を超えると、夫の「配偶者控除」が減らされ、世帯で見ると増税になる。これも妻の就業時間を減らして収入を調整する理由になっていた。税金の壁にはさらに段階があり、年収103万円以下は妻の所得税が非課税、年収100万円以下になると住民税も非課税となる。