“働く専業主婦”は、収入を「年金の壁」である130万円以下に抑えて今のまま夫の扶養家族に残るか、それとも扶養を外れて厚生年金に加入し、自分の年金アップを図るかの選択を迫られている。
判断のポイントは妻の年金受給期間、つまり何歳まで生きるかだ。それまで年収100万円のアルバイトをしていた専業主婦(第3号被保険者)の妻が150万円の年収を得て厚生年金に加入すると、年金受給額は年9000円増える。
ただし、これには対価がいる。妻は年金保険料だけではなく、健康保険や雇用保険などの社会保険料を自分の給料から払わなければならなくなるからだ。ちなみに、社会保険料は加入する健康保険組合や自治体によって差があるが、年収150万円で協会けんぽ加入の場合は年間ざっと22万円になる。決して小さくない金額だ。
これを年金の増加分(年9000円)で取り戻すためには、65歳の年金受給から24年間(89歳まで)かかる計算だ。
もちろん妻の働く意思が強いのであれば、150万円の壁を超えてフルタイムでしっかり働くという選択もある。そうなれば夫婦の年金計画だけでなく、老後の生活プランそのものを練り直すことになるだろう。
※週刊ポスト2019年3月1日号