今では「3メガバンク」ということばがあるが、ほんの20年少し前までは大きめの銀行はかなりたくさんあった。そのうちの一行「富士銀行」はJリーグ発足の1993年、「Jリーグ通帳」を作り、当時一大旋風を巻き起こしたJリーグブームに乗っかった。果たしてJリーグ通帳はまだ使えるのか、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が試してみた。
* * *
いやぁ~、あの頃なんでもかんでもJリーグに便乗すりゃいいと思っていた時代ですよね。「まさお」が突然ラモス瑠偉になってしまう永谷園の「Jリーグカレー」を覚えている方も多いとは思います。あと、国産牛のことは「Jビーフ」と呼ぶようになりました。ラジオをつければ「オーレ、オレオレオレ!」の歌がかかり、パーソナリティの森本毅郎さんが「またか! もういい加減にしてくれ!」なんて激怒していたのを思い出します。
さて、Jリーグ通帳ですよ。「オリジナル10」と呼ばれるJリーグ開始年の10チームのキャラクターが描かれています。この通帳を選べばキャッシュカードもこの10チームのデザインになりますが、先日掃除をしていたところ、Jリーグ通帳を見つけたんですよ。今はなき横浜フリューゲルスの、ムササビをモチーフにしたマスコット(とび丸)が良い味を出しています。
通帳には10見開き分の記帳ページがありますが、まだ5見開きまでしか記帳されていません。平成5年(1993年)9月8日に新規で作られたこの手帳、平成10年(1998年)3月13日を最後に一度も記帳されていません。
ところで、「みずほ銀行」が物心ついた時から普通に存在していた方に向け、補足を。元々同行は2002年に第一勧業銀行と富士銀行と日本興業銀行が合併して誕生した銀行です。第一勧業にしても、元々は第一銀行と日本勧業銀行が合併してできた銀行で、富士銀行も安田銀行に色々な銀行を加えて誕生した銀行という経緯がありました。
私が大学1年生だった1993年当時の“都銀”といえば、第一勧銀、三菱銀行、さくら銀行、東海銀行、住友銀行、三和銀行、北海道拓殖銀行などがありました。いずれも就職の人気ランキングでは上位で、先輩がこれら企業の内定を取ったと聞くと羨望の眼差しで見ていたことを思い出します。その中でも別格とされていたのが「コーギン」と呼ばれていた日本興業銀行です。