住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は「麻布十番」(東京都港区)について、ライターの金子則男氏が解説する。
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東京には三軒茶屋、四谷、五反田、六本木など、数字が入った地名が無数に存在しますが、やや毛色が変わっているのが「麻布十番」。一見、「麻布一番」や「麻布五番」などもありそうですが、実際には「十番」しかありません。
その由来については諸説あるようですが、港区のHPによれば、江戸時代に行われた古川の改修工事で「第10番目の工夫を出した地域」「10番目の土置き場だったから」「10番目の工区だったから」などの説が有力だとのこと。1962年の住居表示改正時に誕生しました。高層マンションが林立し、西に六本木ヒルズ、東に東京タワーがそびえる麻布十番は、高所得者が集う港区のほぼど真ん中。果たしてどんな街なのでしょうか。
鉄道は東京メトロ・南北線と都営大江戸線の2線。かつては“陸の孤島”とさえ呼ばれていましたが、今やすっかり鉄道が便利な街になりました。ただし2線とも新しい路線なので、ホームがやたら深いのは少々面倒なところ。また、麻布十番住民と親和性の高そうな渋谷、恵比寿、表参道、代官山、広尾など、いずれも乗り換えが必要です。
道路状況はボチボチです。駅を中心に東西南北に車線数が多い道路が通っており、首都高速の入り口もすぐ。一帯はとにかく坂だらけなので、車が欲しくなりそうです。ただ、裏道は一方通行が多く、道は複雑。裏道を抜け道として使う車が多いので、小さな子どもがいる家庭は要注意です。また、とにかく高級車が多いので、運転に自信が無い人はビクビクすることになるかもしれません。