夫婦の年金で老後の生活設計を考えているのに、夫が年金受給前にポックリ逝ってしまったら、遺された妻の生活はどうなるのか。
夫がサラリーマンで厚生年金(25年以上加入)の受給資格があれば、妻は65歳になっていなくても、夫の厚生年金(2階部分)の4分の3の金額を「遺族年金」として受け取ることができる。妻が65歳になればそれに自分の基礎年金も上乗せされる(※注)。
【※注/夫と妻の年金額により支給パターンは異なるが、妻は受給額が最も高くなるパターンを選択できる】
申請漏れや申請ミスが多いとみられているのが「寡婦年金」だ。遺族年金の制度は自営業者などが加入する国民年金にもあるが、支給条件が厳しく、「18歳未満の子」がいる妻でなければ支給されない。そのため、子どもがいない妻が夫を失っても国民年金からお金は出ないと思われがちだ。
そんな妻を救済する制度が「寡婦年金」で、亡夫の国民年金加入期間が10年以上あれば、基礎年金の4分の3が妻に支給され、妻が65歳になると打ち切られる。この請求手続きが難しい。申請書には難しい専門用語が並び、書き方がわかりにくい。さらに添付書類も多い。
申請人の戸籍謄本や世帯全員の住民票、生計維持認定のための所得証明をはじめ、交通事故などで亡くなった場合は「第三者行為事故状況届」「交通事故証明」「損害賠償額の算定書」なども添えて市町村役場か年金事務所に提出しなければならない。
まるで支給漏れを誘うかのような仕組みなので、申請に不安があれば社会保険労務士など「手続きのプロ」に相談するのもよいだろう。
※週刊ポスト2019年3月1日号