いくつもの医療保険に入り、万が一の疾病リスクに備えようとする人は多い。もしもの時に、公的医療保険制度だけでは「まかなえない」と考える人も半数以上と多く、医療保険・がん保険に加入する人は年々増えるばかりだ。
ただ、保険に加入していればそれだけで安心、というわけではない。せっかく保険料を支払ってきたのに、いざという時に給付金が支払われないケースもあるという。福岡県在住の主婦・田村さん(仮名・55才)はこう憤る。
「昨年、夫の健康診断で異常が見つかりました。すぐに再検査したところ、結果は初期の胃がん。幸い命に別状はなく、2か月前にがん保険に加入したばかりだったので、お金の心配もせずに済むと思っていました。でも、保険会社に電話すると、『今回は給付金を支払えません』。本来なら、入院1日につき1万円、一時金として100万円支払われるはずだったのに、結局30万円弱を支払うことになりました」
田村さんのように、加入後すぐに病気が発覚した場合は要注意だ。『「保険のプロ」が生命保険に入らないもっともな理由』など、保険に関する多数の著書がある後田亨さんが語る。
「がん保険は、契約から90日以内は『免責期間』とされ、その間にがんと診断されても給付金は支払われません。そのほか、基本的に保険は『治療目的のもの』に限って給付金が下りるため、検査入院の場合も給付金は支払われません。それは医療保険でも同じです。落胆するのも無理はありませんが、病気を隠して加入する人がいたりすることもあるため、必要な措置ともいえるでしょう」