「事前の公証役場への相談は子供だけでも可能で、必ずしも弁護士や司法書士といった専門家を介する必要はありません。相談の際に印鑑登録証明書と本籍記載の住民票を持参してください。公証役場での契約の段階では、親も行く必要があり、それぞれの実印を持っていきます」(弁護士の遠藤英嗣氏)
後見開始の申し立ての際は医師の診断書を求められるため、子供が取得した上で、家裁で手続きする。子供が任意後見人となれば、委任状なしで公共料金、新聞等の解約ができるようになる。
家族信託は、親が元気なうちから家族に資産の一部を信託し、運用・管理を委ねる制度だ。契約を通じて信託した財産は、受託者である家族に管理を委ねられるため、内容次第で家族は広い財産処分権を持つというメリットがある。
弁護士など専門家への相談は子供だけでもできるが、契約書の作成は親子が立ち会うことになる。
「契約では信託の目的や財産を託される子の権限、財産から出た収益の帰属先などを定める必要があるため、弁護士や司法書士など専門家に依頼する必要があります。
その後、公証役場で公正証書の作成に進む。不動産の名義変更と信託口口座の開設をしますが、これらは受託者である子供が進められます」(同前)
※週刊ポスト2019年3月8日号