相続にかかわる煩雑な手続きは“親にやってもらうこと”と思われているが、じつは子供が“代行”したほうがスムーズに進められるものが数多くある。
例えば、住み慣れた自宅を手離したくないと考える親は多いが、高齢者向け施設に移るなら空き家になり、住んでもいないのに固定資産税や空き家向けの火災保険料などの費用ばかりかさむ。管理の手間がかかり、トラブルの火種となる危険性もある。
こうした問題を避け、売却手続きを進めるために子供ができることは多い。
「売却にあたって不動産業者と契約を結び、不動産価格の査定をしてもらいます。親の委任状と印鑑証明があれば、子供が所有者である親の代理となることもできます」(相続コーディネーターの曽根恵子氏)
買い手が見つかれば契約に進む。売り主と買い主の本人同士で結ばれるのが基本の売買契約も子供が代理できる。ここでも委任状、印鑑証明を用意した上で、手付金(代金の1割相当)を受け取るため、親の口座番号を控えておくとよい。
「契約で、2回目の残金決済の日が定められます。通常、2か月後になるのでその日までに計画的に実家の荷物の整理や処分を進めておくことになる」(同前)