「親」といった時に、多くの人にとってそれは“実の両親”だけを指すものではない。結婚して家庭を持っていれば“義理の両親”がいる。
ひとたび義父母とお金や諸手続きを巡るトラブルに巻き込まれると、実の親との問題よりも面倒なことがあるのだ──。
たとえば、親の認知症対策となる「任意後見」や「家族信託」を利用する場合の後見人・受託人は、義理の息子でも引き受けることができる。だが、“義父母の財産管理”という役割を担うよう依頼されることもあるため、リスクが大きい。弁護士の綱藤明氏がいう。
「少しでも信頼関係が崩れると、法定相続人(妻の妹たちなど)が『本当に財産を親のために使っているのか』『勝手に使い込んでいるのではないか』などと勘ぐり出したりして、隘路に嵌まる」
トラブルを未然に防ぐにはどうすればいいのか。
「家族信託では受託者を監督する『信託監督人』として弁護士や司法書士を置くことができます。
義父母らを安心させるためには、問題が起きた時に“財産をどう使っているかは専門家がチェックしている”といえるように、前もって信託監督人を置くことを提案するのもよいでしょう」(司法書士の山口和仁氏)
血縁はないが、“赤の他人”でもない。だからこそ生じるトラブルを賢く回避したい。
※週刊ポスト2019年3月8日号