田代尚機のチャイナ・リサーチ

米中貿易戦争は“プロレス”だ トランプ大統領が描く“ベストシナリオ”は?

2007年、WWEのリングに上がったトランプ氏(Getty Images)

 米トランプ大統領はプロレスが好きで、興行に参加したこともある。ワールド・レスリング・エンターテイメント(WWE)は2007年4月1日、ミシガン州デトロイトで「レッスルマニア23」という興行を行った。いくつかのイベントが行われたが、その中の「バトル・オブ・ビリオネアーズ(億万長者対決)」という試合にマネージャーとして登場、WWEのCEOであるビンス・マクマホン氏とマネージャー対決している。この試合、負けた方のマネージャーが丸坊主になるというルールであった。

 結果はトランプ陣営の勝利となり、トランプ氏がマクマホン氏の髪の毛を刈ってイベントは終わっている。ただし、リング上で、ビールで祝杯しようとしたところ、レフリーを務めたスティーブ・オースチンに必殺技の“スタナー”をくらいダウン、苦しそうにするといった“落ち”を見せている。根っからのショーマンシップの人物である。

 WWEのプロレスはショーである。そもそも同社はれっきとした上場会社だ。オールドファンには2002年に社名変更する以前のWWWF、WWFといった名称の方が、なじみ深いかもしれない。ブルーノ・サンマルチノ、ビリー・グラハム、ボブ・バックランド、アンドレ・ザ・ジャイアント、スタン・ハンセン、ハルク・ホーガンといった所属レスラーが、当時、提携関係にあった新日本プロレスのマットに登場し、日本でも彼らは大いに人気を博していた。

 この会社、1999年10月19日にNASDAQに上場(現在はNY証券取引所に上場)したが、その際、事業内容の詳細について投資家に公開する必要があったため、“シナリオ”が存在することを公表している。テレビ放送のために決着のつく時間は決まっており、しっかりとした起承転結のシナリオが存在するということだ。つまり、WWEのプロレスはスポーツ・娯楽であると宣言したのである。

 さて現在、トランプ大統領の動向に世界中が注視している。何が起こるかわからない“トランプ劇場”に振り回されている投資家も少なくないだろう。だが、このトランプ劇場もWWEのプロレス同様、最初からしっかりとしたシナリオがあるのではなかろうか。

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