「おはようございます」「お先に失礼します」などは社会人として当たり前とされてきた基本的なあいさつだが、昨今ではほとんどあいさつを交わさないという職場も増えているようだ。メーカーからITベンチャー企業に転職し、「あいさつの習慣が薄いことに驚いた」という30代男性会社員Aさんが、その経験を語る。
「メーカー時代、職場では朝一番に比較的大きな声で部署全体にあいさつ。その後も上司や同僚が出社したら、自分から都度あいさつをしていくのは当たり前で、帰りも同様に『お先に失礼します』は必須。あいさつは、工場でも円滑な関係づくりや話かけるきっかけとして重宝されていました」(Aさん)
だが、IT企業に転職するとその習慣は一変した。
「前職のメーカー営業との落差に驚きました。あいさつがほとんど存在しないんです。自分からあいさつしても、よくても会釈、無視されることもしばしば。『お先に失礼します』の一言もなく、いつの間にか姿が消えていたり……。少しさみしい感じもします」(Aさん)
Aさんの会社が特殊というわけではなく、「わりとよくあるケースではないか」と話すのは、別のIT企業に勤める20代男性会社員・Bさんだ。
「うちの会社も、あいさつの習慣は薄い気がします。僕はそもそも上下関係に縛られているようなあいさつは苦手です。後輩が先にしなきゃいけないとか、声は大きくとか、暗黙の決まりみたいなものがどうもダメで、義務みたいにされると気持ちが萎えます。別にあいさつ以外でもコミュケーションは取れますし、むしろあいさつだけ愛想よくする人の方が嫌いです」