ここ数年、「丁寧な暮らし」がメディアで数多く取り上げられ、ライフスタイルの一つとして定着してきた。衣食住において時間や効率に左右されず、手作りや素材にこだわった生活を意味し、その暮らしぶりに憧れる人は多い。
SNSでも「#丁寧な暮らし」のハッシュタグなどで、その暮らしぶりが伺える投稿が盛ん。食だけでも、常備菜をはじめ家庭菜園で収穫した野菜やハーブ、自家製味噌、ジャム、バター、ぬか漬け、自分で挽いた豆でいれたコーヒーなど、実にさまざまだ。
一方で、そんな「丁寧な暮らし」自慢が苦手だと感じる人もいる。IT企業で働く30代女性・Aさんもその一人。
「みんな勝手にその丁寧な暮らしをしていればいいのに、なんでいちいち『今日はこれを作りました』などと報告するんでしょうか。中には、丁寧な暮らしは心まで豊かにするとか、女性として尊敬できるとかウットリする人もいて、何か共通の信念があるようです。私は時短重視でコンビニバンザイ的な“雑な暮らし”でいいと思っているので、まったく憧れません」
そんな“雑”な自分から抜け出すべく、「丁寧な暮らし」に挑戦したというのは、メーカー勤務の30代女性・Bさんだ。だが、その道のりは大変なものだったという。