近年は、旅立つ人がしたためた「遺言書」の意向にできるだけ応えたいと願う家族も多い。だが、その願いが、残される人の“苦労”になってしまうこともある。
タレントの松本明子(52)は、2018年1月に香川・高松市にあった実家を売却した。2003年に父が、2007年に母が他界したが、それ以前の1994年に東京に両親を呼び寄せていたため、実に25年にわたって「空き家状態」のまま、固定資産税や水道・光熱費を払い続けていた。
「維持費がかかるのはわかっていましたが、庭の草木が伸びて、害虫や動物が住み着くのも心配でした。なぜなら、近隣に迷惑をかける可能性がある『特定空き家』と判断されると、土地の固定資産税の優遇措置が適応されなくなるんですよ。なので定期的に地域のシルバー人材センターに剪定を頼んでいました」
さらに2011年の東日本大震災が彼女の足を鈍らせた。
「万が一の時、実家を避難場所として残しておこうと思って、リフォームしたんです。まずは水回りを整えて、床の傾きを直し、クーラーやカーテンも設置。費用は総額で600万円ほどかかりました。ただ、リフォームしたはいいものの、以降も空き家状態で一度も使用していません。
その後、テレビ番組の企画で、不動産業者に査定してもらったんですが、買取価格はたったの200万円。“じゃあ解体するとしたらいくらですか?”と尋ねると、500万円くらいかかる、と」(松本)