「父親と同居する長男が、親の預金を自分のために引き出している事例は少なくありません。親の死後に発覚すると、“返金”を求める弟と拒む兄の対立は避けられません」(橘氏)
こうした争いを避けるために必要なのは、同居する子が「介護ノート」を残しておくことだ。
「親の預金通帳を預かっている場合、何月何日にいくら引き出したか、何に使ったかを記録に残し、領収書も保管する。その証拠があれば流用を疑われても“無実”が立証できます」(橘氏)
同居していない弟の立場からいえば、兄にそうした記録を残すように求めることがトラブル回避策になる。
「半年に一度は、兄の手元にある親の預金通帳を確認するよう心がけたい。“そのほうが後で楽だから”といった言い方で、カドが立たないように言うのが望ましいでしょう」(橘氏)
親が元気なうちに遺産目録を作成することも含め、「記録を残す」ことが、将来の兄弟仲を良好に保つことにつながる。
※週刊ポスト2019年3月22日号