そして、採用段階で特に時間を注いだのが、応募者の「SNSのアカウントを調べる」ことだという。
「面接も重要ですが、ネット上で見せる“裏の顔”まではわかりません。バイト先への愚痴や、芸能人の個人情報のリークなど“うかつな発言”を行うような人物である可能性もあります。
名前や大学名や高校の卒業年などといった情報からツイッター、インスタグラム、フェイスブックなどのSNSのアカウントを調べるのは必須。メールアドレスとSNSのIDは一致する場合も多いですし、バレないようにアカウントを作っていても、案外たどり着くものです。
ちなみにSNSのアカウントを持っていないという人は、そもそも発信することに興味がないタイプなので、“バカ”な投稿をすることはほぼないでしょう。友人に撮影されるパターンという例外はありますが……」
アカウントを特定すると、ツイートや写真から、生活パターンや人となりを推理するという。
「『クラブでオールした』『授業遅刻した』などと発言していれば、“遅刻の常習犯”。他人への不満や文句が多ければ、“輪を乱す可能性が高い”など。仮にアカウントが非公開設定であったとしても、SNSの自己紹介は雄弁にその人のことを語ります。
自己紹介に「○○推し」などと好きな芸能人やアイドルグループのメンバー名が書いてあれば、芸能人とのつながり目当てで応募してきている可能性もある。仕事を通じた出会いがないとモチベーションが下がり、急に辞めることもあるかもしれません」
採用後も、SNSでの監視は続く。T氏は店名やお店近辺の地名などでのエゴサーチは毎日欠かさずに行い、不必要な発言がないかモニタリングし続けたという。
そんなT氏がユニークだったのは、お店のSNSアカウントからの情報発信を、アルバイトに担当させたことだ。
「持ち場が与えられることによって、働きがいも生まれるし、普段の仕事も前向きに取り組むようになる。SNS上で発信したい“自己顕示欲”は、こちらで満たすことが出来る。もちろん発言は、投稿前に事前にチェックしていました」
バイトテロを防ぐ取り組みもあってか、店は大きなトラブルもなく、現在も営業し続けているそうだ。