親の死後に自分が、あるいは自分の死後に家族が、慌ただしい中で進めなければならないのが相続の手続きだ。
「どんな準備・対策が必要か」を指南する情報は数多くあるが、実は最も大切なのは「いつ、その対策をやるか」ということだ。相続をスムーズに進めるための《時系列》を整理する。
節税対策や手続きを抜かりなく進めたつもりでも、後から問題が浮上したり、面倒ごとに巻き込まれるケースは少なくない。そうした人たちは、何を間違えているのか。
「実は、相続で最も意識すべきは“手続きと準備のタイミング”なのです」と、円満相続税理士法人代表で税理士の橘慶太氏が指摘する。
「相続は“いつまでに何をやるべきか”が法律で明確に定められています。物事の進む順番と期限がはっきりしているので、そこから逆算して考えれば事前に準備がしやすい。逆に、失敗する人の9割は『時間との闘い』に負けています。
死を避けることはできません。親の生前のうちから死後までを見据え、着実に準備を進めることが何よりも大切です」
親の死や衰えを悲しむ、あるいは楽観しすぎるあまり手を打つタイミングを逃すと、後手に回って手痛いペナルティを科されたり、準備不足で思わぬ骨肉の争いを招くこともある。
別掲の表に「いつ何をやるか」のタイムスケジュールを示した。この流れに沿って「生前の準備」と「死後の実行」を進める流れを確認しておきたい。
※週刊ポスト2019年3月29日号