社会労務士で元年金事務所副所長の木村昇さんが話す。
「年金受給者には、多くの『所得控除』が適用され、その控除後の金額(課税所得)から所得税が算出されます。年金の控除には、たとえば、120万円の『公的年金控除』や、その他『配偶者控除』『基礎控除』などがあり、このおかげでほとんど税金を払わずに済みます。
しかし、扶養親族等申告書を提出しないと、これらの控除が適用されなくなり、課税所得が大幅に増え、それに伴い所得税率も通常約5%のところ、約10%に跳ね上がることがあるのです。
2017年にマイナンバーが導入された際、扶養親族等申告書の書式が大幅に変更されました。しかし、それに伴い記入ミスが多発。最も混乱を招いたのが、『配偶者の所得』欄の記入ミスだったそうです。本来、妻の所得を記入するこの項目には、年金収入から各種控除を引いた金額を記入しなければなりませんが、収入額をそのまま記入する人が続出し、配偶者控除が受けられなくなるケースもあったようです」
では、余分に税金を取られているかどうかは、どうやって確認すればいいか。
「毎年6月に届く『年金振込通知書』の『所得税額』と『復興特別所得税額』の欄を確認しましょう。前回と比べて金額が跳ね上がっていたり、年金以外の収入がないのに数万円の額になっていたら、税金を必要以上に引かれている可能性が高いので注意してください」(木村さん)
払いすぎた税金は、修正申告すれば還付を受けられる。年金事務所で扶養親族の申告をやり直して、税務署で確定申告をしよう。
※女性セブン2019年3月28日・4月4日号