最後の5年ほどは介護生活を送った京さんだが、トラブルが起こらなかった秘密は、介護費用を事前に準備していた周到さにもあるだろう。
「母は、『身の回りの世話をすることになった時、必要になるかもしれないから』と、事前に口座を作って私に通帳を渡してくれました。お金の話をされたのはそれくらい。私と義父が困らないようにという、母の気遣いを感じました」(節子さん)
財産の相続については何も語らないまま京さんは天国へと旅立ったが、しっかりと遺言を遺していた。
「母の遺品整理を行っている最中、金庫に遺言書があるのを知りました。そこには、すべての財産を私に相続するといった内容が書かれていました」(節子さん)
洋服が好きだった京さんの遺品整理は、まだまだ終わりそうにないと節子さんは笑う。偉大な母の大きな帽子が、今も節子さんを見守る。
※女性セブン2019年3月28日・4月4日号