◆入院の予定がなくても申請OK
この「パスポート」の存在を知っている人も、多くは入院や手術の予定ができたときにあわてて申請している。だが、入院や手術の予定がまったくない人でも申請はできるので、常に限度額認定証が手元にあるよう、年に1回時期を決めて申請するのがおすすめだ。
というのも、入院や手術というのは、たいてい急に決まるものだ。たとえば、体に不調を感じて病院を受診したら、精密検査を勧められてがんが判明したとする。あれよあれよというまに入院や手術の予定が組まれるが、その間、本人や家族のショックや負担は想像以上に大きいものだ。本当にその治療でいいのか逡巡したり、セカンドオピニオンを求めることもあるだろう。仕事を休まなければならないため、その準備や引き継ぎも必要で、家族もさまざまな準備やサポートをしなければならない。
そんなときに、限度額適用認定証の申請手続きまでするのは大変だ。本人以外が申請する場合は委任状が必要になることもあり、手が回らないこともある。
そんなときのために、平時に限度額適用認定証を入手しておけば、いざというときにお金の心配はしなくて済む。幸い、使う機会のないまま有効期限が切れたら、1年間健康だったことに感謝して、処分すればいい。また次の1年のために新しい認定証を申請しておこう。
限度額適用認定証は、国民健康保険なら市町村役場の健康保険窓口、協会けんぽや健康保険組合なら勤務先の総務担当を通して申請できる。有効期間は申請書を受け付けた日の属する月の1日(資格を取得した月の場合は資格取得日)から最長で1年となっている。健康保険にもよるが、国民健康保険や協会けんぽでは7月末にいったん有効期限が切れるので、毎年8月に申請すると1年間有効の認定証がもらえる。夏休みの前後に申請するのを習慣にしておきたい。
文/森田悦子(ファイナンシャルプランナー・ライター)