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ボールがあわや直撃? 過酷だけど楽しめる「野球場アルバイト」の実態

清原選手のホームランボールを危うく被弾

 売り子以外の球場アルバイトは「試合前・試合中・試合後」で異なる業務をこなす。試合前はチケットもぎりや場内誘導、試合中は場内の案内、試合後は客の送り出しや清掃といった具合だ。当然だが、簡単な業務ほど新入りに任されやすい。初出勤のBさんに任されたのは、“笛を吹く”仕事だった。

「野球の試合中に、ピーッという高らかな笛の音とともに、『ファウルボールにご注意ください』というアナウンスがありますが、私が担当していたのがこの仕事。口で笛を吹き、右手では白旗を振って、観客に危険を知らせていました。

 ある試合前のバッティング練習中、当時巨人に在籍していた清原和博選手のホームランボールが、私の数10cm隣をかすめたことがあります。正直ビビりましたが、野球好きとしては、憧れの選手の打球の軌道を見られて、とても興奮したことを憶えています」

泣きながら、ビールを廃棄する

 試合中は、酔客をはじめとするトラブル対応もあったが、隙を突いてプレイを観ることも出来たそうだ。特にゲームも終盤戦に入ると、途中入場をする観客も少ないため、試合を観ていてもあまり注意されることはなかったという。しかし、本当の辛さは試合後に訪れた。

「一番過酷なのが、試合後の清掃業務。ずっと立ちっぱなしで足もパンパンな中、急勾配な階段を上り下りして、客席のゴミをひとつひとつ回収します。1番辛かったのが、置きっぱなしになっているビールの残りを棄てる作業。夏場の炎天下での延長試合後は普段以上に疲れているし、全身ビール臭いしで、半泣きで清掃したものです」

 そんな過酷なアルバイトだったが、得難い体験も多かったと語るAさん。

「狭い球場なので、あこがれの選手と通路ですれ違うことは日常茶飯事。ブルペン近くにいれば、投手に話しかけてもらえることもあり得ます。体力は使うし、ビール臭くもなりますが、野球ファンであれば楽しめるアルバイトなのではないでしょうか」

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