投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が4月1日~4月5日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は底堅い展開か。米国の小売売上高や雇用統計など重要経済指標が市場予想を下回り、景気減速懸念が広がっても、安全通貨としての買いが入りやすく、対円でも下げづらい展開となりそうだ。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)のハト派的な政策スタンスを意識して積極的なドル買いは抑制されよう。
今週(4月第1週)は欧米で重要な経済指標の発表が集中する。欧州中央銀行(ECB)の政策決定を控え、ユーロ圏の腰折れが顕著になれば、ユーロ売り・ドル買いに振れる見通し。ただ、3月27日にNZ準備銀行(中央銀行)が金融正常化から撤退する方針を示しており、世界経済の退潮が進めば安全通貨としてドルや円が選好される地合いとなっている。
一方、米国の経済指標は小売売上高やISM製造業景気指数(1日発表予定)や雇用統計(5日発表予定)でFRBのハト派的な金融政策を後押しする可能性があろう。その際にはドル売りに振れやすくなるものの、指標悪化はある程度織り込み済みで、市場予想に沿った内容ならドル売りが大きく広がる可能性は低いとみられる。米中貿易交渉の合意期待で円売りに振れやすいことも、ドルの押し上げ要因となる。4月3日からはワシントンで行われる協議では、中国の知的財産権保護などがテーマになるとみられている。
なお、トルコのエルドアン政権がリラ売り阻止を狙った政策の効果を見極める展開となろう。3月31日に実施される統一地方選の結果を受け、与党が敗北すれば政治の混乱を嫌気したリラ売りも予想される。その際には、新興国発のリスク要因が強まりそうだ。
【米3月雇用統計】(5日発表予定)
5日発表の米3月雇用統計は、失業率3.8%、非農業部門雇用者数は前月比+17.5万人、平均時給は前年比+3.4%が市場予想。3月の雇用者数は2月実績を上回る可能性が高い。