老後の人生、せっかく買った「マイホーム」をどうするかは多くの人にとって切実な問題になるかもしれないだろう。東京郊外、築30年の一戸建てに住む65歳のAさん夫妻のケースを紹介する。
今後も自宅に住み続けるなら、傷んだ箇所の修繕に加え、介護が必要になった場合に備えてバリアフリー化を検討する必要がある。一部行政からの補助が利用できるが、数十万~数百万円程度の出費は覚悟しなければならない。
Aさん夫妻は、将来は夫婦そろって老人ホームへの入居を考えている。
「そんなAさん夫妻は、自宅を手放して都心の駅近くのマンションへの住み替えが有力な選択肢になる」というのは、『“優良”老人ホーム入居計画』の著者で全国老人ホーム紹介機構理事長の真山(さのやま)英二氏だ。
「現在健康な65歳なら、老人ホームへの入居を検討するタイミングは、おそらく80歳を過ぎてからでしょう。それまでの15年がポイントなのです。
東京郊外の一戸建ては2000万~3000万円程度の売り値がつくものが珍しくありません。そのお金で築年数を気にしなければ都心の駅から徒歩5分圏内、といった条件のマンションを購入できる。
重要なのは駅から近い物件を選ぶこと。むしろ築年数は古くていい。そのほうが値下がりの幅が少なく、資産価値の目減りを抑えることができるのです。都内の不動産価格は東京五輪を控えた現在が頂点で、今後緩やかに下落していくと考えられます。3000万円の一戸建てが、15年で1000万円の値下がりするのもザラになるでしょう」