“元気なうちにもらって使う”という観点から繰り上げと繰り下げを比べてみると、その景色は一変する。
別掲の図をご覧いただきたい。厚労省の標準モデルを前提として「60歳まで繰り上げ」「65歳から受給」「70歳まで繰り下げ」のそれぞれのケースで、平均寿命(男性81歳)までに年金をいくら受け取れるかを計算した。
たしかに、「繰り上げがいちばん損」に見える。しかし、その下に示したように、健康的な日常生活を送ることができる「健康寿命(男性72歳)」までの年金受給額を計算すると、状況は大きく変わる。
この場合、60歳から繰り上げ受給するのが「いちばん得」になるのだ。70歳まで繰り下げた場合と比べると約3倍も受給額が多い。
70歳まで繰り下げた場合、健康寿命までたった2年しかないから、ここまで大きな差が生まれるのだ。
※週刊ポスト2019年4月19日号