年金のプロがこうした判断をするのは、素晴らしいと喧伝される繰り下げ受給に“落とし穴”があることを知っているからという側面もあるだろう。
「たしかに70歳まで繰り下げると年金の額面は42%増えますが、同時に税や社会保険料も大幅にアップして手取りは30数%しか増えないでしょう。
他にも、年下の専業主婦の妻がいる人は、妻が65歳になるまでの期間に受け取れる『加給年金』を、繰り下げで受給を先延ばしにしていると受け取れなくなる。デメリットも知った上で、もらい方を決めないといけません」(北村氏)
「自分にとって得な受け取り方」はどの方法か──“後でたくさんもらいましょう”キャンペーンに惑わされずに、慎重に検討したい。
※週刊ポスト2019年4月19日号