企業概要
同社は制御技術によりモノを精密に動かし止める「モーションコントロール技術」を核に世界トップレベルの製品をいくつも展開しています。
その製品用途は鉄道、航空、商用車、船舶など輸送分野から、産業ロボット、自動ドア、包装機など産業・生活・環境の分野に至るまで多岐に渡り、多くの製品が高シェアを獲得しています。
最も身近なところでは建物用自動ドア。「NABCO」マークで知られ、国内50%トップシェア、世界でも第2位となる20%を誇ります。またロボットの関節部に使われる精密減速機では、産業用ロボット向けで世界トップの60%を、工作機械向けで国内トップの60%を誇ります。
航空機の飛行姿勢を制御するフライト・コントロール・アクチュエーターでは世界4強の一角を占め、国産機向けではシェア100%。また米ボーイングの主要サプライヤーとして「B777」や「B737」などに採用されています。
注目ポイント
業績面では、2019年12月期は、油圧機器や自動ドアの継続した好調に加え、前期失速した精密減速機の回復や減損損失の解消により増益に転じる見通しとなっています。
財務基盤も自己資本比率54.4%、実質無借金と安心の内容です。ネットキャッシュ状態を維持しており、資金面での余裕度が高いこともポイント。成長市場である精密減速機・航空機器への機動的な設備投資やM&Aを実施しながらも、健全なバランスシートを維持していることは評価されます。
同社株は2018年に入ってからというもの冴えない展開が続いていました。中国経済減速懸念を背景としたロボットメーカーからの精密減速機の受注減速、さらにはドイツ子会社(OVALO社)の減損損失、そしてそれに伴う営業利益計画の減額修正が株価低迷に拍車をかけてきました。
ところが最近になって同社株は再評価局面に入ってきています。足元ではTOPIXを約40%アウトパフォームして年初来高値を更新するなど、堅調に推移しています。
世界トップシェア製品を複数有していること、またそうした製品を幅広い領域でアフターサービスにつなげて展開することで景気変動の影響を受けにくい事業構造となっていること、そして業績回復の兆しが確認できたことを評価すると、現在の株価水準は全体として割安なのではないかと思います。
【PROFILE】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。『日本人が知らなかった海外投資 米国株』他、著書多数。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。