「50代は保険を見直す最後のチャンスと捉えたい」と言うのは、ファイナンシャルプランナーの八ツ井慶子さん。50代以降、保険料が高くなることに加え、健康面で保険の新規加入が難しくなるという。さらに、保険に加入した20代、30代の頃とは家族構成など環境が大きく変わっている人も多いのがその理由だ。
医療保険の検討には、1か月の医療費が一定以上を超えると、超過分が払い戻される高額療養費制度が使えることを念頭に置いて見直したい。例えば、年収600万円の55才で1か月の医療費が50万円の場合、月の自己負担額の上限は約8万円になる。
「医療保険で備えたいのは自己負担分です。医療費に加え、個室料金や食事代の一部などがそれにあたります」
生命保険文化センターの調べでは、入院時の自己負担額は平均で23万円。家計から捻出できそうであれば、医療保険には入らないという選択肢もある。「備え」には保険と貯蓄の2つがある。これらのバランスが大事だ。
ちなみに、高額医療費制度の対象は、医療保険の適用範囲に限るので、先進医療も自己負担になるが、実際に受ける人はかなり少ない。先進医療のためだけに医療保険に入るのは保険料の負担が重い。
「その分を貯蓄に回してもいいと思います。決して必ず入らなくてはいけないものではありません。例えば、41才男性で、月々の保険料4000円の医療保険に入っていたとします。
保障内容は、60才まで1日あたり5000円の入院費が支払われ、さらに手術1回で10万円の給付金を得られるとします。
19年間で合計約91万円の保険料が必要です。1週間入院して手術を受けた場合、13万5000円が給付金。支払総額をこの金額で割ると、6.74。つまり、一生涯で7回繰り返したら、元が取れるという計算です。これを安心と思うか、もったいないと思うかは人それぞれです。家族でよく話し合って医療保険を見直しましょう」
※女性セブン2016年5月5日号