都内のファミレスで何やら真剣に話し込む女性グループの会話が聞こえてくる。その話し声は、日本語ではなく中国語。塾のパンフレットを眺めて、どうやら子供の教育について相談しているようだ。
昨年公開された法務省の調査によると、日本で暮らす中国人は約74万人。帰化申請して日本国籍を取得している人や不法滞在者を含めると、100万人を超えるともいわれる。
彼女たちはなぜ、日本で生活することを選んだのか―─ふと、そんなことが気になり、思い切って中国人ママたちに話しかけてみた。
日本の上場企業で働く夫を持つ上海出身の李菁菁さん(29才・仮名)は、達者な日本語で、中国人ママ友たちとの連絡手段について教えてくれた。
「東京近郊には大規模な中国人ママ友グループがいくつかあり、私が入っているところも70人以上いる。“WeChat”という中国版のLINEのようなスマホアプリのグループ機能を使って、食材の共同購入や子供の遊び場情報、育児に関する情報などを毎日やり取りしています」
吉林省出身の女性・趙瑾萱さん(45才・仮名)は、日本で暮らして20年になる。実業家として辣腕を振るうかたわら、小4の一人息子の教育に情熱を傾けている。
「私は中国の大学で医学部を出た後、海外留学ブームに乗って日本に来ました。日本の医師免許を取るつもりでいたのですが、言葉の壁は高く、諦めました。今は中国料理店を3軒経営しているので、生活には余裕があります。夏休みは子供をアメリカのサマースクールに入れる予定です」
日本で暮らす中国人ママは、李さんのように日本企業勤務の中国人夫がいたり、日本人男性と結婚して配偶者ビザで在留している人が中心で、裕福な人が多い。
趙さんも、留学ビザで来日した後、永住権を持つ在日中国人の夫と結婚し、配偶者として在留資格を得たという。永住権は「帰化」と違い日本の国籍を持たないため、選挙権などはない。
「息子は帰化させてもいいかなと思っていますが、将来、日本以外の国に住みたいと言うかもしれないので、彼の考えに任せます」(趙さん)
※女性セブン2019年4月25日号