昨年公開された法務省の調査によると、日本で暮らす中国人は約74万人。日本の上場企業で働く中国人も増えつつあり、共に働く機会は今後ますます増えることだろう。
中国において、中国人の勤勉さは、大きな結果を生んでいる。国の経済力を示すGDP(国内総生産)の値で、中国は2010年に日本を追い抜き、米国に次ぐ世界2位となったのだ。今や、各国の一流企業が中国に目を向けている。日本で暮らして20年、実業家として辣腕を振るう吉林省出身の女性・趙瑾萱さん(45才・仮名)が話す。
「20年前、初めて東京に来たときはものすごい大都会だと圧倒されたけど、今は、よく見ると繁華街にもネズミがいるし、建物や地下鉄の駅も古くさく感じる。中国は高層ビルが次々と建ち、地下鉄も拡大し続けていて、すべてが新しい。最近は中国へ帰ったときの方が、近代的な街並みに圧倒されます」
“遅れている”ともいえる日本の現状は、経済面だけでなく、人にも影響しているのではないかと言う。日本の上場企業で働く夫を持つ上海出身の李菁菁さん(29才・仮名)は、こう語る。
「日本人はとてもがまん強いが、みんなストレスをためているように見える。将来、うちの子供がストレスに耐えかねてうつ病になったり、電車でチカンをするような“変態”になったらどうしよう…」
人口が多い中国でも満員電車は当たり前だが、“チカン”など聞いたことがないそうだ。さらに、“ママ”同士の希薄な関係性にも不安を隠さない。中2の娘と小5の息子を持つ北京出身の王麗華さん(38才・仮名)が語る。
「娘を中学受験させたとき、情報の少なさに苦労したけれど、日本人ママはプライベートを明らかにするのが恥だと考えているようなので相談できずに困った。ひとりで育児のストレスを抱え込むなんて、中国では絶対あり得ないこと」