中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

文系出身者が「これは役に立った」と感じた大学の講義

 チームに分けてプレゼン大会を行うなどしましたが、楠木先生は「条件面を良くする以上に、従業員同士の『愛』こそ重要」といった話や、「同僚のホメ方」「競争がもたらす『より高み』に向かわせるチームワーク」などを具体的な体験とともに解説してくれました。

 この講義に出会えただけでも私は4年間大学に行った価値があると思っている。

人生の指針となる「師」を見つける醍醐味

 なお、冒頭で登場したA氏だが、「千里の道も一歩から」「やればできる」ということを学んだのも大学の講義のおかげだといいます。A氏は西洋史学が専攻だったが、ドイツ語の分厚いテキストを渡されても最初は何も分からない(語学が苦手だったようです)。

「いやぁ~、ドイツ語は確かに難しかったですが、目次も含めて、分からない単語を片っ端から全部辞書でひけばなんとかなるんですよ! そりゃあ、時間はかかりますが、すべての言葉をしらみ潰しに訳していけば、ある程度、文章の意味は分かるようになります。根性論かもしれませんが、『やればできる』はウソではないことが分かりました。これって、今仕事をするにあたっての基本的スタンスにもなっていると思います」(A氏)

 一方で、現在、文系の学部で教鞭をふるっている人は何を考えているのでしょうか。千葉商科大学専任講師の常見陽平氏にまずは「役に立った講義」を聞いてみると、竹内弘高先生(一橋大学名誉教授。専門はマーケティング、企業戦略など)の『インターナショナルビジネス』を挙げました。

「いまでいうグローバル・ビジネス講義ですね。競争戦略だけでなく、世界とどう向き合うか、どんな未来をつくるのかを考える講義で、受講生も積極的に議論をしたり、鋭い意見を述べるなど、レベルが高かったです。

 竹内先生は学生に写真入りのプロフィールシートを提出させましたが、それを2回目までに完璧に覚えてきたので、驚きました。毎回ケースが渡され、読み込み、分析しなくてはならないのですが、小テストと発言により点数は決まっていきました。この講義では人を掴む話し方、議論の組み立て方という、プレゼンやファシリテーション(会議で健全な議論を進める方法)の仕方をまずは学べました。しかし、何より、世界を、そして日本をどう見るかという大きな視点を得られるとともに、難しい局面をポジティブに捉え、いかに変化を起こすか、を学びました」

 そして、現在文系の教員として学生にどのような視点で学習して欲しいかを聞きました。

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