「定年後に一番生活費がかかるのは60代です。日本人の健康寿命は男性約72歳、女性約74歳だから、60代は夫婦とも元気で人生を積極的に楽しむことができる年齢といえる。交際費や通信費、旅行、外食など出費も多くなります。しかし、70代になると交遊範囲も限られてきて出費が減ります」
70代後半から80代になれば必要な生活費は大きく減る。そう考えれば、お金がかかる60代に無理して生活を切り詰め、生活費がそれほどかからなくなる70代から多くの年金をもらうというのは第二の人生をすり減らす本末転倒な発想ということになる。
本誌・週刊ポストは「年金は65歳より早くもらう方が得になる」と報じてきた。
夫の年金が月額16万円の標準モデルの場合、60歳からの繰り上げ受給を選択すると年金は月額約11万円に減る。それでも早くもらう分、60代で受け取る年金額は最大になり、70代からは生活費が少なくて済むことから、妻の年金(専業主婦は国民年金約6万5000円)を合わせると生活を維持できる。
※週刊ポスト2019年4月26日号