年金には「繰り上げ・繰り下げ受給」という制度がある。繰り下げ受給を選択すれば、受給開始年齢が遅くなるかわりに、毎月もらえる年金額が増えるため、長生きすることを考えると一見、お得なように見える。だが、実際は必ずしもそうとは限らない。「早くもらった方が得」というケースも少なくないのだ。何しろ70歳まで年金受給を待っても、その時には生活にあまりお金がかからないということもあり、「こんなことなら60代のうちからもらっておくべきだった……」と後悔する人もいるのである。
「早くもらって得する方法」を実践する上では、働き方ともらい方を夫婦セットで考える必要がある。
図は、60歳定年後に夫婦で「毎月35万円」を稼ぎ、年金(厚労省モデルの月額約22.1万円)を60歳まで繰り上げ受給した2つのケースを示したものだ。
賢い働き方を夫婦で実践したCさん夫婦は月額50万円以上の収入を実現させた一方、Dさん夫婦はそれに比べて収入が月額約7万1000円も少ない。年額にして85万円以上、65歳までの5年間で考えると430万円近い差が生じる。