「断捨離」「ミニマリスト」といった言葉が注目されるようになって久しい。“こんまり”こと片づけコンサルタントの近藤麻理恵さんが米国でも大人気になるなど、空前の片づけブームが起こっている。たしかに仕事をするうえでも、デスクの周囲等をキレイに整頓しておくことこそ効率的、といった論もある。しかし、世の中にはどうしても片づけられない人というのが存在する。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏もその一人。中川氏は「片づけられないからといって悲観する必要はない」という。その真意について解説してもらった。
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写真を見ていただければわかりますが、もう無理なんですよ。私、片づけられないんです。片づけに限らず、できないことがいっぱいあるんです。方向音痴のため、初めて行く場所は、30分前に着くようにしますし、あとは途方にくれて100メートルの距離もタクシーに乗ることがあります。短距離走も遅かったし、動体視力は壊滅的ですし、「自分には不得手なものはあるからしょうがない」と考え、今はラクに生きています。
「開き直るな。周囲の人にも迷惑だろ」なんて言われるかもしれないですが、いや、無理なものは無理ですし、同僚がいるわけでもないので、別にこれで誰にも迷惑かけていません。博報堂ケトル共同CEOの嶋浩一郎氏の新著『アイデアはあさっての方向からやってくる』(日経BP社)には、「『汚い机』の方がアイデアは生まれやすい」という項目があります。それって自分のことじゃないか!
〈情報を生かすには、集めたものをあえて「整理しない」ことがポイントなんです。それは、「情報」は、整理・分類してファイルにとじたり、引き出しにしまったりした瞬間に死んでしまうから〉
〈情報を整理・分類するという行為は、あらゆる可能性を持つ多面体のある一面だけを見て評価してしまうということ。そうなると、意外な結果を生み出す“化学変化”が起きにくくなる。化学変化はいつ起こるかわかりません。だから、情報は整理してはいけないのです〉(同書より)
私の場合は、ここまで頑なに信念をもって片づけていないわけではまったくなく、単に片づけられないし、とにかく毎日のように締め切りに追われていて、忙しくて片づけをするプライオリティが低いんです。というか、片づけのセンスがまったくないんです。収納用のボックスを買うのも面倒だし、あとは「いらないもの」「いるもの」「迷うもの」を分けるとかのやり方はありますが、これらをやることさえ面倒くさい。