新聞社・女性「将来的に、今の福利厚生が存在し得るのか」
新聞記者をしている20代女性・Bさんは、入社以来ずっと家賃補助制度を利用してきた。規定内であれば家賃の半分を会社が負担するというもので、その制度を利用し、一等地にある会社近くのマンションを借りている。
「15万円の家賃も、会社が半分折半してくれています。少ない人数でたくさんの業務をこなさなくてはならない職場ですが、仕事は“人”が資本。従業員を大切にする文化が根付いている証拠だと思っています。
緊急対応などもあり、ハードな仕事ですが、今は『休める時は休む』ことも重要視されています。また、朝刊担当になると仕事が終わるのが真夜中の2時過ぎ。電車は動いていないので、会社の乗り合いの送迎車で帰ることもできます。家に帰ってお風呂に入ると、一人暮らしとしては贅沢な部屋を借りさせてもらっているありがたみを感じる。家賃補助は、働く大きなモチベーションになっていますね」(Bさん)
一方でBさんは、制度の継続に対する不安もあると語る。
「新聞を読む人が減っていて、海外支局の拠点数も減らしています。特派員一人のみで駐在する国も増えてきました。そんな中、会社がいつまで制度を続けられるか。今の50代ぐらいの世代は“逃げ切り”出来るかもしれませんが、私たちの世代が定年を迎える頃まで、今の福利厚生がもつかどうか……」(Bさん)
家電メーカー・男性「福利厚生削減に、従業員軽視を感じる」
家電メーカーに勤める30代後半の男性・Cさんは、福利厚生は「会社の“健康状態”を示すバロメーター」だと感じている。
「私が入社した15年ほど前までは、若手社員向けの社宅や、健康保険組合が提供する保養所、社員の家族やグループ会社関係者のみが利用できるレストランなどがありました。業績もよく、牧歌的な空気があったものです」(Cさん)
だが10年ほど前に、国内での事業拡大に陰りが見られるようになると、それらの施設は少しずつ売却され、大手福利厚生サービスとの提携が通達された。