働くことの価値や、職場環境の質が改めて問われるようになった今、福利厚生の重要性が見直されている。第一生命保険が2019年3月に発表した2018年度『福利厚生制度に関する実態調査』によれば、約6割の企業が、優良な人材の採用・離職率の抑制を目的に福利厚生制度の拡充を検討していると回答している。
求職時には従業員に対する会社の姿勢を知る判断材料にもなる福利厚生だが、実際に働く会社員は、自社の福利厚生制度に対してどう思っているのだろうか。20代、30代の若手社員の声を聞いてみた。
大手広告代理店・男性「福利厚生は使い倒すもの」
大手広告代理店に勤める30代男性・Aさんは、年次を経るにつれ、福利厚生制度を利用する機会が増えてきたと言う。
Aさんが勤めている代理店は、自社の健康保険組合があるほどの大企業。確定拠出年金に加入するほか、スポーツジムの利用、保養所への宿泊、引っ越し支援金などの制度を利用してきた。朝食の無料提供や、家族を年1回遊園地に招待できる権利などといった制度もあるといい、Aさんは「大手だから享受できるものだと思う」と話す。
「社会人になった当初、家賃補助など金銭的なもの以外は、あまり利用したことがありませんでした。ただ、4年目を過ぎたころには、『福利厚生は使い倒すもの』という考えになり、積極活用するように。時々会社を辞めて独立することも考えますが、安定した収入に加え、健康保険などの制度を受けられなくなると思うと、『もう少し会社に残ってもいいかな』と考え直す理由にはなっています」(Aさん)