「有事の金」と言われるが、金の価格はどのように決まるのだろうか。金の値動きの特徴について、FX(外国為替証拠金取引)などのカリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが解説する。
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金は「リスク回避の動きで買われる」ということは、投資の世界では基本中の基本とされていますが、なぜそのような値動きになるのでしょうか。
まず金は「有事の金」と呼ばれるように、富裕層の人たちは何かあった場合に、資金を金に逃がす傾向があります。そのロジックは、自国通貨の価値が万が一ゼロになっても困らないように、昔から様々な取引の決済手段として使われている金なら安全であり資産を防衛できるだろうという考え方です。
ちなみに世界の金の量がどのくらいか、ご存じでしょうか。これまで世界で採掘された金の量は、大体50mプール3個分と言われています。
価格の決定要因というのは、需要と供給で決まっていくのが経済の基本ですが、金の場合この供給サイドが増加しないため、何か起きると重要が高まり、金の価格が上昇します。商品(コモディティ)と言われる金や銀、プラチナ等の貴金属は、需給が価格決定要因の大きな割合を占めているためそれを踏まえて取引するべきでしょう。
金の他にも高級な貴金属といえばプラチナを思い出すかもしれませんが、昔は金価格が10,000円の時、プラチナは20,000円という時代もありました。しかし、その後プラチナは大幅下落し現在3,000円を超える水準程度で推移しています。
実は同じ貴金属でも、この2つの値動きには大きな違いがあります。プラチナは自動車の触媒で利用されていましたが、最近ではプラチナに変わりパラジウムが代替として利用され始めたため、需要が減退し価格に反映されたということです。
商品相場というのは上述のようにほとんど需給で動いているため、このような大きなイノベーションによる変化は、原油であれ、プラチナであれ、長期的な価格形成に影響を与えることは、覚えておいて損はないでしょう。
【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/)。