改元と同時に「令和の年金改悪」が始まる。そのメインターゲットは団塊ジュニア(1971~1974年生まれ)だと考えられる。現在48歳(1971年生まれ)の団塊ジュニアから年金70歳支給になるように、支給開始年齢を68歳→70歳→75歳へと段階的に引き上げる。その手始めに導入されるのが「75歳選択受給」だ。
これにはさらなる狙いもある。支給開始年齢を70歳まで引き上げるための布石だ。年金改革を審議する政府の社会保障審議会年金部会では、今年の財政検証に向けて“活発な議論”が行なわれている。
昨年後半に開かれた部会の議事録などを見ていくと、諸外国の平均寿命と年金制度を整理して「日本人は寿命が長いから、受給開始年齢を引き上げたほうがいい」という議論の叩き台になるような資料が提出され、民間人委員から「70歳支給開始」の提言が出ている。
その上で、現在は65歳を基準とする繰り上げと繰り下げについて、「5歳ずつ後ろ倒し」する提案もあった。
これはつまり、70歳を支給開始とすることに合わせ、繰り上げ・繰り下げの選択肢を「65~75歳」にスライドさせて、従来通り65歳からもらう人は「繰り上げ」扱いとして月16万円の年金を30%カットの11万2000円に減らすということだ。10年我慢して75歳に繰り下げる人も「年金2倍」ではなく、42%割り増しにとどめる仕組みである。空前の年金減額が議論されている。
※週刊ポスト2019年5月3・10日号