改元と同時に「令和の年金改悪」が始まる。現在48歳(1971年生まれ)の団塊ジュニアから年金70歳支給になるように、支給開始年齢を68歳→70歳→75歳へと段階的に引き上げる議論が始まっている。
年金70歳支給になれば、定年後の「年金空白」期間が10年になる。60代は働き口を見つけて凌ぐしかない。
そこで気になるのが、「在職老齢年金」制度の行方だ。稼げば稼ぐほど年金がカット(支給停止)される在職老齢年金制度は「就労意欲を削いでいる」との批判が強い。そこで自民党「全世代型社会保障改革ビジョン検討PT」(事務局長・小泉進次郎氏)はこの4月にまとめた報告案に、「在職老齢年金の廃止の検討」を盛り込んだ。廃止されれば、定年後も年金減額を気にせずに稼げるから朗報になる。
だが、こうした動きを真に受けることはできない。前述の年金部会の議事録を見ると、厚労官僚や民間人委員には慎重論が多い。
「廃止するには4000億円の財源が必要になる。在職老齢年金の仕組みは基本的に維持するべき」といった声が堂々とあがる。
むしろ、将来的には「在職老齢年金」が強化される恐れすらある。この制度について厚労省は、〈現役世代とのバランスから、一定の賃金を有する高齢者については(年金の)給付を制限〉(年金部会提出資料)する趣旨があると説明している。
つまり、「保険料負担ばかり重い現役世代からすれば、年金も給料もたくさんもらえる“得する世代”はズルい。不公平感をなくすために、そういう年寄りの年金は削ろう」という理屈だ。