「75歳繰り下げ」が選択可能になると、年金を増やそうとした結果、逆に住民税非課税世帯のメリットを失ってしまう人が続出する可能性があるのだ。
たとえば年金収入が年間115万円(月額約9万5000円)という標準モデルよりもかなり少ない人を想定すると、65歳受給を選べばもちろん住民税非課税だし、5年繰り下げても年額200万円弱で非課税のメリットを受けられる。ところが、75歳までの「10年繰り下げ」にしてしまうと、211万円の壁を越えてしまう。現行制度にはない“新たな罠”である。
住民税非課税の「壁」は居住地によって「211万円」「約201万円」「約192万円」の3種類がある。“どこまで繰り下げると住民税非課税でなくなってしまうか”を把握することが、新時代の年金防衛術の要の一つとなる。
※週刊ポスト2019年5月3・10日号