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セブン&アイとイオン、2大流通グループの創業家めぐる課題

セブン&アイHDと伊藤家

セブン&アイHDと伊藤家

 銀行勤務を経て、1990年にセブン-イレブン・ジャパンに入社、2007年には常務執行役員になったが、その後、2009年にホールディングスに転籍後は取締役執行役員として「敏文体制で不遇をかこっていた」(同社OB)。突然、取締役に抜擢された鈴木家の次男と違い、6年にわたって目立たないポストに留め置かれたわけだ。

 結局、敏文氏が会長を辞任した後に、力関係の変化が鮮明になる。同じ年の年末で鈴木家の次男は取締役を辞任する一方、2016年末には伊藤家の次男は取締役常務執行役員に昇格。経営推進室長という社長の右腕にのし上がった。新聞各紙は「創業家への回帰鮮明に」と書きたてた。「創業家」としての資本の論理が、「カリスマの経営力」に勝ったということになる。

 鈴木敏文氏がセブン&アイを去ったこととの因果関係は別として、その後、コンビニ業界を取り巻く環境は激変している。人手不足が深刻になり、24時間営業に対するフランチャイズ店長の不満が爆発した。

「鈴木さんがトップだったら、店長たちがマスメディアに苦境を訴えることもなかっただろうし、24時間の見直しももっと早くに鈴木さんが始めていた」

 と鈴木氏をよく知る関係者は言う。果たして、そうした苦境を創業家の後継は乗り越えることができるのか。

35歳で子会社社長

イオンの岡田元也社長(写真:時事通信フォト)

イオンの岡田元也社長(写真:時事通信フォト)

 同じ流通業界ではイオンも世襲の色が濃くなっている。イオンは岡田卓也氏がグループ300社、連結売上高8兆円という巨大企業に育て上げた事実上の創業者だが、長男の元也氏がジャスコ時代の1997年以来20年以上にわたって社長の座についている。

 同社が財務局に提出した決算書には同社のリスクとして、「(事業の成否は岡田元也社長及び他の幹部経営陣の)能力に相当程度依存しております」とし、岡田氏らに匹敵する能力と経験のある人材を確保できない場合、大きなリスクになるとしている。

 創業家トップに権限が集中していることを窺わせるが、果たして元也氏に匹敵する能力を持つ人物とは誰なのか。

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