「夫を亡くした時点の妻の年齢によって、居住権を選ぶべきか考えた方がよいでしょう。なぜなら、居住権は妻の年齢により、相続できる割合や金額が変わるからです。居住権の算定方法はまだ確定していませんが、法務省の簡易評価表によれば、妻の年齢が若いほど今後自宅に住む期間が長いと想定されるため価値は上がります。しかし、法定相続分は決まっているため、居住権の価値が上がった分、相続できる預貯金は少なくなります(表参照)」(曽根さん)
反対も同様だ。妻の年齢が高いほど自宅に住み続けられる期間が短くなるため、居住権の価値は低くなり、その分多くの預貯金を相続できる。
居住権を選んだ場合、妻が65才以上ならば「自宅価値の半分以上の預貯金」を相続できるので、老後も安心だろう。表2の通り、年を取るごとに、相続できる現金は増える。
しかし、65才以下だと「自宅価値の半分以下の預貯金」しか相続できず、今後の生活が不安だ。その場合は、居住権を選ばずに、自宅を売却するなどして、手元に現金をしっかり残し、新生活に切り替えた方がよさそうだ。
※女性セブン2019年5月9・16日号