平成の時代はまだ年金も手厚く、「現役時代の働き」で退職後の生活水準が決まった。だが、令和の時代は「定年後の選択」で勝ち組、負け組が分かれることになる。経済ジャーナリストの荻原博子氏が言う。
「昭和から平成は現役時代の給料が年功序列で上がり、退職金もたんまりもらって老後も手厚い年金と社会保障に守られていたので、リタイア後に重大な選択を迫られることはなく、レールに乗っていればよかった。団塊世代(70代前半)まではいわばギリギリ逃げ切れた世代です。
しかし、60代からはそうはいかない。この世代は働き盛りの40~50代の頃に平成不況で給料は下がり、退職金は頭打ち、年金も減らされている。もう昭和・平成の発想ではだめ。新しい令和の価値観では、定年後は敷かれたレールを降りて、自分で選択する生き方をしていかなければならないのです」
定年後の選択肢は多くなった。
年金のもらい方をとっても、60歳から繰り上げ受給か、65歳か、あるいは70歳や75歳まで我慢して繰り下げ受給するかという選択肢を迫られる。定年後の雇用延長や再雇用の働き方、何歳まで働くかも自ら選ばなければならない。
ひとつ選択を間違えば大変なことになる。とくに「リタイア後の蓄えが足りないから」と投資に走る場合は注意が必要だ。経済ジャーナリストの荻原博子氏が指摘する。
「投資商品のことを全く知らない素人が、老後の資金を使って挑戦するほど危険なことはありません。そもそもこれから不況時代に入っていくと言われているのに、素人がリスクを取るような投資をしてはいけない」
誤れば虎の子の資産を失って老後破産につながる危険さえあるのだ。
※週刊ポスト2019年5月17・24日号