「子供や孫と同居して暮らすほうが安心だし、孫と一緒にいられて楽しそう」(72歳男性)──こんなふうに70歳をすぎると“同居”を考え始める人は多いが、早まってはいけない。介護ジャーナリストの小山朝子氏はこう指摘する。
「子供世帯との同居は、ライフスタイルの違いもありかえってストレスになることがあります。三世代同居は理想的に見える半面、高齢者にとって孫の世話は体力的に大変な場合もあります」
内閣府の幸福度調査でも、60~70代の男性は「孫の世話」より「趣味に熱中している時」や「友人との食事や雑談」に生きがいを見出す割合のほうが高い。また、同調査ではひとり暮らしの高齢男性の場合には孫がいない人のほうが幸福度が高いという結果も出ている。
子供や孫が近くにいれば、刺激が増えてボケ予防にもなるだろう――というのも大きな誤解。同居している高齢者のほうが、実は認知症になりやすいという調査もある。
面倒見のいい子供夫婦だと、親に「楽隠居」させてしまい、高齢者が自分で身の回りの世話をしなくなるからだ。
※週刊ポスト2019年5月17・24日号