史上最長、前例のない10連休のGW。長めの帰省をした人も多かったはずだ。都内で暮らす主婦・陰山さん(仮名・55才)もその1人。
「いい機会だからと、GWは高校生の息子も連れて、滋賀県の実家に帰省しました。でも、久しぶりに両親の顔を見ると、その老け込みっぷりにびっくり。料理好きの母は、昔はよく手の込んだ料理を作っていたのに、出前やスーパーの総菜で済ませるようになっていました」
そればかりか、足腰が弱ったため家のメンテナンスが満足にできないのか、天井から雨漏りがあって、庭も荒れ放題。想像以上の家の傷みにも驚いたという。
「これでもし、父か母のどちらかが亡くなったら、どうなるのでしょうか。ただでさえ、独立していった子供たちの部屋はホコリだらけの物置き部屋状態。思うように動かない体で、1人では広すぎる家の掃除ができるとは思えません。それどころか、段差の多い古い家なので生活するには危険かもしれません」
今、多くの現役世代に突きつけられている問題が「老親の家」をどうするかだ。
経済成長期からバブル期を生きてきた親世代にとって、マイホームは家族みんなで住む「一生に一度」の大きな買い物であり、憧れだった。しかし、人生100年時代に突入した超高齢化社会の今、子供が独立して“役割”を終えた家は、「持ち家リスク」とまで呼ばれる時代になった。
家が“お荷物”になるのはまだ先のことと思っていても、決断を先延ばしにしたり、安易に楽な方を選択すると、思わぬ痛い目を見ることになりかねない。いざという時に慌てることのないよう、「老親の家」を今からどうしておくべきか。