今週の日経平均は引き続き21000円の攻防が展開されそうだ。米中貿易摩擦の長期化が懸念される中で、米国による中国の通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)排除の動きが相場の悪材料として作用している。政治レベルの貿易協議と異なり、ファーウェイ問題は、半導体企業などに、より直接的に個別の企業収益に影響を与えてくることが警戒されている。
さらに、欧米の景況感悪化、原油相場の大幅下落、英国メイ首相辞任による欧州政治リスク、日米貿易交渉の本格化と懸念材料が山積し始めており、日経平均の上値を一段と重くしている。テクニカル的に見ても日経平均は、75日移動平均線が頭を抑え込み、24日にかけて2日連続で5日移動平均線を割り込み下振れリスクを警戒する形となっている。
こうしたことから、日経平均の積極的な上値追いは期待薄といえる。また、地合いが良くないだけに、30日の米1-3月期GDP改定値、31日の中国5月製造業PMIについても神経質な反応を示す可能性があることから注意が必要だ。
一方で、24日に見られたように日経平均は21000円割れ水準では押し目買いを呼び込んで下値の堅さが意識されている。中国の上海総合指数も一段安で3000ポイントを割り込んだ5月6日以降は2900ポイントを挟んだ往来相場を展開して下げ渋っていることが、一つの支援材料ともなっている。
物色的には、29日の実質6月相場入りで心理的ムードが変わることが期待されるほか、令和となって第1号、約1カ月ぶりとなる新規上場銘柄としてバルテス<4442>がマザーズにデビューすることが物色を刺激しそうだ。
来週の主な国内経済関連スケジュールは、28日に4月企業向けサービス価格指数、トランプ米大統領帰国、29日に黒田東彦日銀総裁発言、31日に4月失業率・有効求人倍率、4月鉱工業生産、4月商業販売統計、4月新設住宅着工戸数が予定されている。
一方、米国など海外経済関連スケジュールでは、27日に米はメモリアルデー、英はバンクホリデーでそれぞれ休場。28日に米3月FHFA住宅価格指数、米3月S&PコアロジックCS住宅価格指数、米5月CB消費者信頼感指数、30日に米1-3月期GDP改定値、米4月中古住宅販売仮契約、31日に中国5月製造業PMI、米4月個人所得・個人支出、米5月シカゴ購買部協会景気指数が予定されている。
このほか、トピックスとしては、31日にアジア安全保障会議「シャングリラ会合」(シンガポールで2日まで)が開催、6月1日は中国が米国からの600億ドル相当の輸入品に対する追加関税を最大25%に引き上げる。