中国の銀行の理財商品(高利回りの資産運用商品)残高が急増している。中国銀行業理財市場年度報告(2015)によれば、2015年末現在、426社の銀行において、理財商品の発行残高があり、商品数は6万879本。額面残高は23兆5000億元に達しており、前年末比56.46%増となっている。
理財商品といえば2013年6月、当局の管理強化がきっかけとなり、急激に縮小を余儀なくされた結果、インターバンク市場で異常な金利上昇が発生、本土株が急落し、世界の金融市場に大きな影響を与えた。
国際市場においては、理財商品の多くが不動産や石炭開発などへのハイリスクの貸出で運用されているといった極端な見方があった。実体はそうした貸出は全体のごく一部であり、中国人民銀行が金融機関の現状を正確に把握しており、銀行のリスク管理を徹底させたこともあって、その後はたいした問題には発展しなかった。
理財商品の残高は2014年以降も増えていたが、前述のように2015年は急増した。特に2015年7月以降の急増が目立つ。
2015年7月といえば、本土市場が急落した時期と重なる。株式市場から流出した資金が理財商品に流れ込んだ形となっている。
銀行の理財商品は1年未満の短い満期の商品が中心となっている。期待される利回りは低いものの、リスクも小さいといった特徴があり、債券やインターバンク市場を中心に運用されている。