4月28日に日銀の追加金融緩和が見送られると、日経平均株価は急落。連休の合間の5月2日も一時1万6000円を割り込むなど続落し、2営業日で1143円も値を下げた。為替は急速な円高が進行しており、輸出企業の収益圧迫懸念から「円高・株安」傾向が強まっている情勢だ。
いったいこの先、どうなるのか。本誌は日本経済分析の専門家21人に緊急調査を実施。今年末までの日経平均株価の推移予測とその理由を尋ねた。その中でも、「2万円超」の予想をした3人の解説を紹介する。
最高値の「2万1000円」と予想したのは、「カリスマファンドマネージャー」として知られる「ひふみ投信」の運用責任者・藤野英人氏(レオス・キャピタルワークス社長)だ。
「景気には循環的な波があり、これまでの時間的な調整を考えれば、秋口に底を打つ可能性がある。それは政府・日銀の政策というよりは、あくまで景気循環によるもの。政策が景気を浮揚させるのではなく、景気が政策を動かしているのです。
そして株価には先見性があるので、景気の底打ちを見越して6月くらいまでには株価も反転する可能性がある。そうなると、ここまで下げてきた反動から『大型株の反撃』シナリオも想定され、大型株で構成される日経平均も2万1000円を超えるような展開が予想されます」
次いで「2万円」予想の武者陵司氏(武者リサーチ代表)は、「昨年来、株価下落の要因となった中国発のデフレの影響が沈静化しつつあり、米国の景気もこの先順調と見ています。日本だけを見ると悲観論に陥りがちですが、世界全体で見ると決してそうではない。日本株を取り巻く円高・株安の悪循環も底固めをしている状況にあり、中国問題が顕在化しなければ2万円超えは十分考えられます」と見通す。
同じく「2万円」を予想する岡山憲史氏(マーケットバンク代表)は為替動向に注目する。
「為替を動かす大きな要因は金融政策。米国は早ければ6月、遅くとも年内には利上げに踏み切ると見られ、金利上昇によってドルが買われ、ドル高円安に転じる。1円の円安は日経平均を約400円押し上げる効果があり、年内に1ドル=117円台まで円安が進めば、2万円の大台回復も見込めます」
※週刊ポスト2016年5月20日号